Classiques japonais avec furigana
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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
Lisez 山の人生 (やまのじんせい) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 022 caractères · 226 écrans
山で働く者の小屋の入口は、大抵は垂蓆を下げたばかりであるが、山女夜深く来たってその蓆をかかげ内を覗いたという話は、諸国においてしばしばこれを聞くのである。そういう場合にも髪は長くして乱れ、眼の光がきらきらとしているために喰いにでも来たかの如く、人々が怖れ騒いだのである。或いはまた日が暮れて後、突然として山小屋に入り来たり、囲炉裏の向うに坐って、一言も物を言わず、久しく火にあたっていたという話も多い。豪胆な木挽などが退屈のあまりに、これに戯れたなどという噂のあるのは自然である。羽後の山奥ではこんな女をわざわざ招き寄せるために、ニシコリという木を炉に燃す者さえあると『黒甜瑣語』などには記しているが、それは果してどういう作用をするものか、その木の性質と共になお尋ねて見たいと思っている。
今から三十年あまり以前、肥後の東南隅の湯前村の奥、日向の米良との境の仁原山に、アンチモニイの鉱山があった。その事務所に住んでいた原田瑞穂という人が夜分少し離れた下の小屋に往って、人足たちと一緒になって夜話をしていると、時々ぱらぱらとその小屋の屋根に小石を打ちつける音がする。