Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

Lisez 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 840 caractères · 88 écrans

Aozora Bunko

声いっぱいに喚き喚き、津留の部屋へとあとを追っていった。さて、……作者はここで、津留の部屋における、二人の会話を紹介して、この物語を終ろうと思う。

「私はねえ、貴女にぜひ私の妻になって貰いたかったんですよ」泰三はこう云っている、「ところがです、この家のおやじがですね、私にこの家の婿養子になれって云うんです、実にどうも利己的と云っていいかわる賢いと云っていいか、そこは貴女にもわかって貰えると思うんですが」

「どうして利己的なんですの、どうしてわる賢いんですの」津留は泣き泣きこう云っていた、「――わたくし朝の茶漬なんて、少しも乙だなんて思やしませんわ、でも、いつかの朝のことが忘れられず、あのときの思い出のために、あれから毎朝、独りで茶漬を喰べながら……そっと泣いていたんですわ」

恋人の俤を偲んで、お茶漬を喰べながら泣いていたという。これは愛の告白として実に哀切なるものではないか。しぜん泰三の言葉も熱を帯びてきたようだ。

「有難いです、いや嬉しいくらいです、貴女もそこまで私を思っていて下さる、とすれば、私が婿養子の話を断わった気持もわかって下さるでしょう」