Classiques japonais avec furigana
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うきふね
文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集
泉 鏡花
Lisez 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 938 caractères · 67 écrans
――この連中が四五人居たので。中にいまのそれらしい面影は煙にも見えない。
「失礼しました。」
極りも悪し、摺り状に退った。心は苛立つ、胸は騒ぐ。……
「坊主は何うしました。」
何うしました? 坊主は、坊主は。――身近な処から顔見知の人たちに、真三は、うかうかと聞き廻る。……さあ、何処へ行きましたかと云う。今しがたその辺に見えたと云う。……何等の交渉のないのも居た。――坊主――坊主?――幾度も、煩く口を出したと云う。会の方から故障が出たと聞いたのに、たよりを得て、うろうろ人なかを手さぐりで、漸と白尾を見て、囁いて聞くと、私たち三人がかりで片傍へ連出して、穏かに掛合ったので、何うにか静って黙ったが、あの八ツ頭を倒に植えたような頭は、いま一寸見当らない、と真三とともに座中を透した。勿論、話手を妨げないように、幹事側とて、わけて、ひそひそ、ひそひそと、耳をつけ、頬を合せて、あっちへも、こっちへも、坊主は、坊主は――真三に取っては、あの坊主が此処に居れば、幾らか気は安まったのである、が、見当らない。
坊主は、――坊主は――ああ、我ながら、いやな坊主を口で吐いて、広間じゅう撒散したようで、聞く耳、交す口に、この息も嘸ぞ臭かったに相違ない、とほッとした、我がその息さえ腥い。