Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 757 caractères · 375 écrans
そういうのも、至極自然であって、日頃の勝家とちがい、今はまったく、焦ち迷っているふうもない。
銚子が来ると、快く一献酌み、おそらくこれが別れであろうと、利家父子にも酌し、さて、利家の給仕で、サラサラと湯漬を一椀喰べ終ると、
「生涯の馳走、きょうの湯漬に如くものはなかった。いかい造作をかけた。忘れはおかぬ」
と倉皇、暇乞いをつげて、元の玄関へと歩いた。
利家は、外まで送って出て、勝家の乗馬のひどく疲れているのを見、
「厩からわしの葦毛を曳いて来い」
と、小姓にいいつけ、自身の愛馬をもって、勝家にすすめた上、ふたたび利長に口輪を取らせて、
「万一あってはならぬ。城外の町屋端れまで、そうしてお見送り申せ」
と、命じた。
そしてなお、馬上の人へ、
「北ノ庄へお入りあるまでは、ここの防ぎお気づかいなく」
と、特に告げた。
勝家は、いちど去りかけたが、ふと何か思い出したように、また駒を戻して、利家のそばへ寄った。
相別れて、いちど去りかけながら、また別れを告げ直しに戻って来た勝家の意は、こうであった。
「又左どの。――御辺と筑州とは、若年からの、二なき別懇。戦いかくなるからは、この匠作に義理遠慮は早要り申さぬ。