Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lisez 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 240 656 caractères · 478 écrans

Aozora Bunko

「な、京弥さま。あのう……お分りになりましたでござりましょう?」

「は。分ってでござります。のち程参りますから、お先にどうぞ」

そこの廊下先でばったり出会うと、何がどう分ったものか、目と目で物を言わせながら、二人してしきりに分り合っていた様子でしたが、間もなく前後して吸われるように、姿を消していってしまったところは、庭の向うのこんもり木立ちが繁り合った植込みの中でした。

けれども、江戸名物の元禄退屈男は、一向それを知らぬげに、奥の一間へ陣取って、ためつすかしつ眺めながら、しきりにすいすいと大業物へ油を引いていたのも、世は腹の立つ程泰平と言いながら、さすが直参お旗本のよき手嗜みです。しかもそれが新刀は新刀でしたが、どうやら平安城流を引いたらしい大変れ物で、荒沸え、匂い、乱れの工合、先ず近江守か、相模守あたりの作刀らしい業物でしたから、時刻は今短檠に灯が這入ったばかりの夕景とは言い条、いわゆるこれが良剣よく人をして殺意を起こさしむと言う、あの剣相の誘惑だったに違いない。――ほのめく短檠の灯りの下で、手入れを終った刀身をじいっと見詰めているうちに、じり、じりと誘惑をうけたものか、ぶるッと一つ身をふるわして、呟くごとくに吐き出しました。