Classiques japonais avec furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lisez 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 240 656 caractères · 478 écrans
ぴったり閉め切った門の中で、声も威丈高に罵っているのは、どうやら目ざす大和田十郎次のようでした。
「ウフフ、助の字十郎次やりおるな。まてまて、今沼田の正守ひと泡吹かせてやろうわい。早乙女どの、主水之介どの、年はとってもこの位の高塀、乗りこせぬわけではおじゃらぬがな、装束が邪魔になって身の自由が利かぬのじゃ。手伝って下され。――左様々々。どッこいしょ。ほほう、なかなかよい眺めじゃ。では、お先に飛びおりますぞ」
つづいてヒラリ上がった退屈男共々、難なく二人は塀をのりこえて、屋敷の庭先に侵入すると、臆せずに近よっていったのは、心地よげに百姓達のくくされるのを見眺めていた十郎次の前です。しかも、老神官沼田正守の言い方は、また実に高飛車で、この上もなく不敵でした。
「大和田どの、わざわざと人夫共をお揃え下さって、色々とどうも御足労でおじゃる。急にちと境内に手入を致さねばならぬところが出来申したのでな。早速じゃが、ここにお勢揃いのみなの衆をそっくり頂戴して参りまするぞ。
「なにッ?」
「いや、わしじゃ。わしじゃ。たびたび無心を言うて相済まぬがな。御身がおじい様の八郎次どのから、いつ何時たりとも苦しからずと、有難い遺し書を頂戴しておるゆえ、またまた拝借に参ったのじゃ。