Classiques japonais avec furigana
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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Lisez 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 079 caractères · 102 écrans
「お足袋が泥だらけになりました、直き其処でござんすから、ちょいとおいすがせ申しましょう。お脱ぎ遊ばせな。」
と指をかけようとする爪尖を、慌しく引込ませるを拍子に、体を引いて、今度は大丈夫に、背中を土手へ寝るばかり、ばたりと腰を懸ける。暖い草が、ちりげもとで赫とほてって、汗びっしょり、まっかな顔をしてかつ目をきょろつかせながら、
「構わんです、構わんです、こんな足袋なんぞ。」
ヤレまた落語の前座が言いそうなことを、とヒヤリとして、漸と瞳を定めて見ると、美女は刎飛んだ杖を拾って、しなやかに両手でついて、悠々と立っている。
羽織なしの引かけ帯、ゆるやかな袷の着こなしが、いまの身じろぎで、片前下りに友染の紅匂いこぼれて、水色縮緬の扱帯の端、ややずり下った風情さえ、杖には似合わないだけ、あたかも人質に取られた形――可哀や、お主の身がわりに、恋の重荷でへし折れよう。
「真個に済みませんでした。」
またぞろ先を越して、
「私、どうしたら可いでしょう。」
と思い案ずる目を半ば閉じて、屈託らしく、盲目が歎息をするように、ものあわれな装して、
「うっかり飛んだ事を申上げて、私、そんなつもりで言ったんじゃありませんわ。