Classiques japonais avec furigana
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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Lisez 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 079 caractères · 102 écrans
十三
しかし、その時はまだ誰だか本人も御存じなし、聞く方でも分りませんので。どういう別嬪でありました、と串戯にな、団扇で煽ぎながら聞いたでございます。
客人は海水帽を脱いだばかり、まだ部屋へも上らず、その縁側に腰をかけながら。
(誰方か、尊いくらいでした。)」
十三
「大分気高く見えましたな。
客人が言うには、
(二、三間あいを置いて、おなじような浴衣を着た、帯を整然と結んだ、女中と見えるのが附いて通りましたよ。
唯すれ違いざまに見たんですが、目鼻立ちのはっきりした、色の白いことと、唇の紅さったらありませんでした。
盛装という姿だのに、海水帽をうつむけに被って――近所の人ででもあるように、無造作に見えましたっけ。むこう、そうやって下を見て帽子の廂で日を避けるようにして来たのが、真直に前へ出たのと、顔を見合わせて、両方へ避ける時、濃い睫毛から瞳を涼しくいたのが、雪舟の筆を、紫式部の硯に染めて、濃淡のぼかしをしたようだった。
何んとも言えない、美しさでした。
いや、こういうことをお話します、私は鳥羽絵に肖ているかも知れない。
さあ、御飯を頂いて、柄相応に、月夜の南瓜畑でもまた見に出ましょうかね。