Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 158 540 caractères · 319 écrans
跡取りの娘であるからそちらへ差し上げるわけには行かないと、歌女寿はわざと焦らすように一旦ことわると、相手はいよいよ乗り出して来て、いわゆる囲い者として毎月相当の手当てをやる。まだそのほかに話がまとまり次第、一種の支度金のような意味で当金百両出そうという条件まで付けて来た。金百両――この時代においては莫大の金であるから、歌女寿も二つ返事で承知した。これでお前もわたしも浮かみ上がれると、彼女は顔をくずして歌女代にささやいた。
「阿母さん、こればかりは堪忍してください」と、歌女代は泣いてことわった。何をいうにも自分は身体が虚弱い。大勢の弟子を取って毎日毎晩踊りつづけているのさえも、この頃では堪えられない位であるのに、その上に旦那取りなどさせられては、とても我慢も辛抱も出来ない。そんな卑しい辛い思いをしないでも、別に生活に困るというわけでもない。自分は倒れるまで働いて、きっと阿母さんに不自由はさせまい。囲い者の相談だけはどうぞ断わってくれと、彼女は母にすがって頼んだ。勿論、この訴えを素直に受けるような歌女寿ではなかったが、平生はおとなしい歌女代もこの問題については飽くまで強情を張って、嚇しても賺してもどうしても得心しないので、歌女寿も持て余して唯苛々しているうちに、その夏の梅雨の頃から歌女代の健康は衰えて、もはや