Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 158 540 caractères · 319 écrans
半七捕物帳
一
一
安政と年号のあらたまった年の三月十八日であった。半七はこれから午飯を食って、浅草の三社祭りを見物に出かけようかと思っているところへ、三十五六の男がたずねて来た。かれは神田の明神下の山城屋という質屋の番頭で、利兵衛という白鼠であることを半七はかねて知っていた。
「なんだかお天気がはっきりしないので困ります。折角の三社様もきのうの宵宮はとうとう降られてしまいました。きょうもどうでございましょうか」と、利兵衛は云った。
「全くいけませんでしたね。降っても構わずにやるというから、わたしもこれからちょいと行って見ようかと思っているんですがね。少し雲切れがしているから、午過ぎからは明るくなるかと思いますが、なにしろ花時ですから不安心ですよ」
半分あけてある窓の間から、半七はうす明るくなった空をながめると、利兵衛は少しもじもじしていた。
「では、これから浅草へお出かけになるのでございますか」
「お祭りがことしはなかなか賑やかに出来たそうですからね。それに一軒呼ばれている家がありますから、まあちょいと顔出しをしなくっても悪かろうと思って……」と、半七は笑っていた。
「はあ、左様でございますか」