Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 158 540 caractères · 319 écrans

Aozora Bunko

毎日の稽古にも堪えられないで、三日に一度ぐらいは枕に親しむようになった。こっちの返事がいつまでも渋っているので、旦那の方でもさすがに根負けがしたらしく、いつとは無しにその相談も立ち消えになった。巨大な魚は逃げてしまった。

歌女寿は歯ぎしりをして口惜しがった。折角の旦那を取り逃がしたのも、歌女代のわがまま強情からであると、歌女寿は無暗にかれを憎んだ。倒れるまで働くと云った歌女代の言質を取って、決してべんべんと寝そべっていることはならない、仆れるまで働いてくれと、真っ蒼な顔をして寝ている歌女代を無理に引き摺り起して、朝から晩まで弟子たちの稽古をつづけさせた。勿論、医師にも診せてやろうともしなかった。お仲という若い地弾きが歌女代に同情して、そっと買薬などしてやっていたが、その年の土用の激しい暑気がいよいよ歌女代の弱った身体をしいたげて、彼女はもう骸骨のように痩せ衰えてしまった。それでも歌女寿は意地悪く稽古を休ませなかったので、彼女は殆ど半死半生のおぼつかない足もとで稽古台の上に毎日立ちつづけていた、お仲も肚の仲ではらはらしていたが、大師匠の怖い目に睨まれて、彼女はどうすることも出来なかった。