Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans
時々、納屋の横の便所に立つために出て来るのですが、どうも身体がよく利かない。双眼鏡で見てても、危っかしいのですよ。それに長いわずらいだと見えて、邪魔者あつかいにされているらしく、昼飯の仕度に帰って来た女房から罵られたりしているのです。また子供がいましてねえ、頭の鉢の開いた、七つか八つの男の子なんですが、これも爺さんを馬鹿にしているらしい。勿論、双眼鏡で見るんだから、声など聞えはしないけれど、此の黙劇からそのしぐさで私が推察したんですが、まあ、そんな訳なんです。子供は爺さんを馬鹿にしてるけれど、爺さんにとっては孫ですからねえ、可愛いらしい」
「よく判るもんだね」
男は、かすれた声で一寸わらった。
「そうじゃないかと思うのですよ。で、爺さんにしてみれば、息子夫婦からは邪魔にされるし、行末の希望はないし、という訳で、或る日のことでしたが、私が此処から双眼鏡で見ていたんですよ。昼間でね、日がかんかん当っている。爺さんが縁側に這い出して来たんですよ。そして庭に下りて、納屋の方に歩いて行く。便所に行くのかな、と思って見ていたら、そうでもないらしい。納屋の奥から苦労して、踏台と縄を一本持ち出して来たんです。