Classiques japonais avec furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 073 caractères · 223 écrans
――お館へ伺うと申されましたので、私さきに戻ったのでございます。
「うん、それはどうあろうか」
――相手は涌谷さまでございます。
「寺池は強欲だ」
――涌谷さまも理不理を枉げる方ではございません。
「ものになるかもしれぬな、うん、ひとつ考えてみよう」
――寺池さまがみえましたらお会いなされますか。
「来るとすればいつだ」
――おそくとも明日じゅうにはお着きなされましょう。
「ひとつけしかけてくれるか」
――はあ。
「会ってけしかけてくれよう」
――承知つかまつりました。
「大学(奥山)から面会を求めて来た」
――はあ。
「いよいよ江戸へ出て、老中に訴えるつもりらしい、そのまえに会って、おれの存意をしかと聞きたい、ということだ」
――六カ条でございますな。
「会うには及ばぬと答えた、おそらく湯気を出して怒っておるだろう、江戸で岩沼(田村右京)がふんばってくれれば面白くなる」
――厩橋(酒井忠清)さまの御意はいかがでございましょうか。
「それが気にかかるか」
――六カ条は奥山どのに利分があると存じます。
「だからどうした」
――万一、老中でおとりあげになると致せば、六カ条は奥山どのの勝になると存じますが。