Classiques japonais avec furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 154 788 caractères · 299 écrans
「私はロドリゲス・アレサンドロというものだ。家内があの犬のお陰で君に大変世話になったと……是非行ってくれぐれも礼を言って来てもらいたいと……私からも厚く礼を言うよ。私の言ってることがどういう意味か、君にはよく飲み込めるはずだね。ベナビデス君手は挙げていた方がいいだろうね。私は臆病だから弾が飛び出すといけないからね……」と私は薄笑みを洩らした。下りかけていたベナビデスの両手が慌てて伸びた。
「これからとっくりと礼を言いたいのだが……その前に一言聞かせてもらいたいね、あの犬の売れ残りはまだあるかね?」
「し……下階に……下階にいる」
「そこへ案内してもらいたいね、向う向きになってね! もっと手を高く挙げてね!」
仕方なくベナビデスは、手を挙げたまま向う向きになって歩み出した。高く重ねられた檻が両側から今にも崩れ落ちんばかりに蔽い被さって、頗る細長い通路であった。五、六碼奥へ進むと、左側にベナビデスの寝起きしている部屋であろう、換気の利かなそうな灯を消した真っ暗な部屋があった。この部屋の壁に沿うて突き当った右側が二階へ上る段梯子になる。その上り口の揚げ蓋の下がまた段梯子になって、これが地下室へと導いているのであった。