Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 773 caractères · 294 écrans

Aozora Bunko

彼は、くやしいというよりも、何か気ぬけがしたようなふうだった。

彼にとって何よりもつらかったのは、正木に帰って不成績を報告することだった。で、万一に望みをかけて、及第の発表をまって帰ろうかとも考えた。しかし、いよいよ受からなかった場合のことを考えると、本田に残っている気にはなおさらなれなかったので、合宿の連中といっしょに、ともかくも正木に帰る決心をし、源次と竜一とにもそのことを約束していたのだった。

ところが、試験場からの帰りに、権田原先生は、例の無表情なような、奥深いような眼をして言った。

「本田は、もう三四日こちらに残るんだそうだね。ひょっとすると、成績発表の日まで残ることになるかも知れんが、失敗していても、平気で学校に帰って来るんだぞ。落第の仲間は沢山いるんだ。」

次郎は、先生にはじめて成績のことを言われて、眼を伏せたが、それよりも、三四日こちらに残るといわれたのがいやに気になった。で、そのわけをたずねると、先生は微笑しながら、

「それは、帰ってお父さんに訊いてみると判るよ。」

と言ったきり、べつに委しい説明をしなかった。

彼は、恭一と二人で、急いで家に帰ってみた。