Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 146 773 caractères · 294 écrans
彼は、俊三のそうした様子を見ているうちに、ふと、彼の六、七歳ごろの記憶をよび起した。それは、乳母のお浜と自分との間に恭一が割りこんで、お浜の愛を奪っていると想像した結果、恭一のカバンをそっと便所になげこんだおりのことであった。彼は、そのころ恭一に対して感じたものを、俊三に対して感じはじめたのである。
それは、その時ほど狂暴なものではなかった。しかし、それだけに、胸のしんに何か食い入るような気持だった。彼はもうお芳と俊三とを見ている勇気がなくて、ひとりでに眼を恭一の方にそらした。
恭一は、いやに注意深い眼をお芳に注いでいたが、次郎の視線を自分の顔に感ずると、
「次郎ちゃん、二階に行こうや。」
と、急に立ち上った。それからお芳のうしろにまわって、
「お祖母さん、これもらっていいでしょう。」
と、茶棚の上の菓子鉢をとりあげた。お祖母さんは、ちょっといやな顔をして、
「二階に持って行くのかい。」
「ええ。いけないんですか。」
「食べたけりゃ、ここでいっしょに食べたらいいじゃないかね。」
「ここでは、おいしくないや。ねえ、次郎ちゃん。」
恭一としては、いつもに似ない言い方だった。