Classiques japonais avec furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lisez 比島投降記 (ひとうとうこうき) de 石川 欣一 (いしかわきんいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 333 caractères · 134 écrans
ラロではローレライを歌い、わざわざむずかしいドイツ文字でそれを書いて友達に教えていた若い兵隊もいたし、アパリの収容所長をしていたG中尉は僕がドイツで暮したことを知ると、ドイツ語で話しかけた。G中尉はドイツ系ではないが、大学ではじめかけたドイツ語の復習をしようという訳なのである。このような事実からして、米国人の戦争目的がはっきりしていたことが了解出来ると同時に、僕は米国が二十年間に国として成人した、大人になったということを深く感じた。まだ若い、どうかするとダブル・ネガティヴを使ったり He don't といったりする兵隊までが We won the War. の大威張りをやらず、小児病的なドイツ憎悪から離脱しているのである。それと同時に祝酒をやっていながらも、その静かなことは、事実声をかけられるまで、彼等が何をしているのか、僕には見当がつかなかった位である。
この行儀のよさも、感心したことのひとつである。用事があって、狭い通路を歩いて行く途中、日本の捕虜がウロウロしていても、決して突き飛ばしたり「そこをどけ」と怒鳴ったりしない。相手は捕虜なんだから、蹴飛ばしても一向差支えなさそうだが、多くの場合大きな身体を小さくして通るか、捕虜の方で気がついて横に寄るまで待っているかである。