Classiques japonais avec furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lisez 比島投降記 (ひとうとうこうき) de 石川 欣一 (いしかわきんいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 333 caractères · 134 écrans
甲板からは大笑が起った。R大尉がオールを握り、艦長は舳に立って、一本のオールで砂をつついた。僕の仕事はあき缶で水を汲み出すことだったが、いくら汲み出しても後から後から水が入って来るので、何の役にも立たない。そればかりか、一丁も行ったら、今度はボートの底が砂にめりこんでしまった。「こいつはどうにもならん。下りよう」という訳で、四人そろってジャブジャブと水の中に入った。艦の方では口笛を吹いたり、何かいって笑ったり、盛んに我々をひやかしている。我々は苦笑しながら、ボートを引張ったり押したりして、やっとのことで岸に着いた。
ところが我々を町まで案内するといったバンカは、ここに流れ込んでいる相当な大きさの川を、どんどんこいで溯って行く。「歩いて行くと橋がない、川をボートで行った方が早い」というようなことをいうので、我々は再び水びたしのボートに乗って、川をさかのぼった。増水しているのか、いつでもそうなのか知らぬが、この川にははっきりした岸というものが無く、両岸は林が水の中に立っている。大汗を流して、行けども行けども目的地らしいものに着かない。一キロなどとは出鱈目だったのである。