Classiques japonais avec furigana
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ゆしまもうで
湯島詣
泉 鏡花
Lisez 湯島詣 (ゆしまもうで) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 62 004 caractères · 122 écrans
梓はその感情をもって、その土地で、しかも湯島詣の朝、御手洗の前で、桔梗連の、若葉と、幟と、杜鵑の句合の掛行燈。雲が切れて、梢に残月の墨絵の新しい、曙に、蝶吉に再会したのである。
今日しも寄宿舎の紅茶会で、竜田若吉が言ったごとく、梓はその時もある意味をもって、蝶吉に助けられた。
些細なことだけれども、一体貧窮刻苦の中に育った人の、文学士で玉司子爵夫人の恋婿でありながら、ちっとも小遣などは気にしないので、持って来たとも覚えず、忘れて来たとも知らず、落したのか、紙入というものを持合さず、水を注ごうとして干杓を取ると、
(水銭をおくんな。)と豆を装ってならべてある土器の蔭から、丸々ッちい、幼い顔を出されて、懐を探るとない。袂に手を入れるとない。左にもない、帯の間にはもとよりない。
思わず、どぎまぎして呟いた。
(どうした知らん。)
(水銭をおくんな。)
梓は極が悪いので、
(おや、おや。)と疑わしそうに言ったけれども、一種の見得で、自分には掏られたあてもないのである。
子供は同じことを、
(水銭をおくんな。)
(まあ、懐中を忘れたそうだよ。)
目をぱちくりして、委細構わず、