Classiques japonais avec furigana
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ゆしまもうで
湯島詣
泉 鏡花
Lisez 湯島詣 (ゆしまもうで) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 62 004 caractères · 122 écrans
胸騒
四十一
「おやおや、痩せたわねえ。徹夜をして、湯にも何にも入らないから、黒くなったよ、段々痩せて消えれば可いな。」
と袖口を掴んで肩の辺まで、撫で下げると、上へ伸ばしていた着物は飜って、二の腕もあらわになった。柔肌に食い入るばかり、金金具で留めた天鵝絨の腕守、内証で神月の頭字一字、神というのが彫ってある。
蝶吉は清しい目をぱっちりとって、恍惚となったが、枕を上げると突然忘れたように食い付いた。腕守を噛んで、頭を振って、髪を揺ぶり、
「厭よ、私厭よ、別れるのは厭、厭! 厭だ、厭だ、別れるのは厭。」と、泣吃逆をして、身を顫わし、
「写真くらい見たって、可いじゃないかね、可けないかい、ええ、構うもんか。私はもう、」
むッくり起上ろうとすると、茫然犬張子が目に着いた。
「はッ、」という溜息で、またばったり枕に就いたが、舌打をして、
「寝ッちまえ!」
と縋り寄り、
「私も端の方へ入ってよ、坊や、さあ、お乳。」
といって、見得もなく、懐を掻開けて、ふッくり白いのを持ち添えて、と見ると、人形の顔はふッと消えて無かったのである。
胸騒
四十一
「おや、おかしいねえ、」と吃驚して屹となったが、蝶吉は出がけに人形の顔を掻巻の襟で隠しておいたのに気が付いた。