Classiques japonais avec furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lisez 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 395 caractères · 263 écrans
そうすると、案外刺傷の位置がものをいって、心臓を突かなかったのも、事によったら突き損ねたのであって、あるいは三人の盲人のうちでか――とも考えられるが、一方には、兇器がこの室になく、というよりも不可解至極な消失を演じ去ったのであるから、その点にゆき当たると、依然盲人は、この血の絵に凄気を添えている、三つの点景にすぎないとしか思われないのであった。
その時、片隅にいる一団に遠慮したような声で、法水は検事に囁いた。
「見給え支倉君、これも、今までの定跡集にはなかったことだよ」
と検事に、赤のような形をしたドス黒いものを示した。
それは、創口を塞いでいる凝血の塊だったが、底を返して見て、検事は真蒼になってしまった。
「どうだ! 細い直線の溝があるじゃないか。たしか針金か何かで、皮膚と平行に突っ込んだにちがいないよ」
「たぶんそうだろうと思うがね。そうすると、これほど手数のかかる微細画をだ。しかも、犬射復六を前に、堂々と描き去った者がなけりゃならんわけだろう。
ところが、この奥の室には、先刻から朝枝という娘がいるそうだけど、こんな静かな中で、盲人の聴覚が把手の捻り一つ聴きのがすものじゃない。