Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

Lisez 白髪鬼 (はくはつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 046 caractères · 224 écrans

Aozora Bunko

「わしは、百万円持っている。これをみんなやるから、ここから出してくれ」

若しこの穴蔵に主人があって、わしが監禁されているのであったら、その一言で、たちまち自由の身となることが出来るものを。

と思うと、巨万の富も、この様な場所では、石ころ同然であることが分って来た。百万金よりも、一片のパンの方が有難い。一杯の水の方が望ましいとは、何という変てこな立場であろう。事実、わしはペコペコに腹が減っていたし、痛い程喉が乾いていたのだ。

まるで夢か、お伽噺みたいな、莫大な財宝の発見に、一時は有頂天になった丈けに、それが、ここでは石ころ同然だと分ると、わしは、ガッカリしてしまった。

何という運命のいたずらであろう。失望させて置いて喜ばせ、喜ばせたかと思うと、今度は又もやさか落しに奈落の底だ。その度毎に、わしの苦しみは、恐れは、悲しみは、二倍になり三倍になって行くのだ。

わしは、百万円の棺に凭れて、グッタリとしたまま、長い長い間、身動きもしなかった。他人が見たならば、きっと「絶望」という題の彫刻そのままであろう。絶望の極、智恵も力も抜けてしまったのだ。

と、その虚に乗じて、女々しい感情が群がり起る。