Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(一) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 246 214 caractères · 495 écrans

Aozora Bunko

「――宗家のおん大事、今にあるか」とばかり、近くは佐野、御厨、あるいは田沼、葛生の山奥からも、夜ッぴて城戸へ馳せつけて来る騒ぎだった。

「たれが、そのような令をば布令たか。――城戸に軍揃いせよ、などとは、わが夫貞氏どの以外には、一人とて、いわれまじき令であるはず」

夫人の清子は、老臣、侍頭などをよびつけて、その盲動を、きびしく叱った。

――とはいえ、これは彼らの命令でもない。いわば自然の発火現象で、彼らもその鎮撫にはほとんど眼いろを変えている。

こうした中で、ただ一縷、清子は草心尼の返事だけを心待ちに待っていた。

――が、やがてその日帰ってきた尼は、疲れた姿を、義姉の前に薄くひれ伏すと、怺えに怺えてきたものを、いちどに吐いて咽ぶように、

「お、お使いの儀は、やぶれました。さし出がましゅう、われから世良田へまいりながら、この不首尾、おわびのしようもございませぬ。くちおしゅうございまする」

と、泣き沈んだ。

「そうかや。ああ、ぜひもない」

清子は、予期していた風でもある。かえって、身も心も一そうひきしめたように、きっとなって。

「おそらく、わらわが世良田へまいっても、やぶれは同じだったであろ。