Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(一) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 246 214 caractères · 495 écrans
すると、荒々しい杉戸の音が、遥かに聞えた。つづいて、みしっと、人の跫音が近づいて来るらしいので、
「たれだっ」
彼は、櫛を投げて、刀掛けに架けておいた大太刀を、横づかみに持った。
――とたんに、
「謀反人頼兼、うごくなっ」
大喝と共に、彼の眼にとびこんで来たのは、物ノ具鎧った山本時綱の姿だった。
「ややっ。おのれは」
「鎌倉殿の御命でまいった。左近っ、のがれえぬところだ。あきらめろ」
「たわけた雑言を。……謀反などとは、何を証拠に」
「それこそ、世迷い言よ。証拠はいくらでも六波羅ノ庁にあがっている。わけて、なんじの弟船木頼春の妻が、親の斎藤四郎左の許へ、密訴に駈けこんだのを、どう言い解くぞ」
「な、波路がか?」
さっと、形相を変えるやいな、大太刀を抜き払い、
「時綱っ。日頃のよしみだ。冥途の供をさせてやる」
と、躍りかかった。
「なにをッ」
発矢ッ――
火花が匂う。
寝まき姿のままだが、自暴の切ッ先は、鉄装の相手を無茶苦茶に追いまくした。――時綱は、受け太刀ぎみ、草鞋のかかと退がりに、だだだと、庭添いの大廊下まで踏み退がる。
時綱の郎党三人は「やや、おあるじの危急」