Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(一) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 246 214 caractères · 495 écrans

Aozora Bunko

もともと、彼は儒学の家の生れだった。どこか身についている文人肌はそのせいであろう。館の北の籬に、ひそと住まって、つねに不在がちなこの良人を待っている妻は、まだ初々しいほどうら若い。――つい、おととし頃までは、西華門院(後宇多ノ後宮)の内で小右京ノ局とよばれていた小女房だった。

門のあたりの車ぎしりを知るやいな、小右京は、まろぶが如く、帳の蔭から走り出た。そのくせ、良人を見ても、なにも言いえず、ただうるんだ眼でおろおろ迎え、姿に添って、水のように一間に入った。

やっと、喘ぎを呑んで、

「……お帰りなされませ」

精いっぱいの怺えで言ったのだろう。ついそのまま、肩をくずして、咽び伏してしまった。

「小右京。ここは都の隅だが、さだめし一昨以来の洛中の騒動、ここにも聞えていたであろうが」

「は、はい。聞きました」

「ならばもう多くを語ることも要るまい。俊基の身も、明日は鎌倉に送られる。……今日は別れに帰って来たぞ」

小右京は、胸がつぶれた。悲しさの上に悲しい驚きに打ちひしがれて。

「では、鎌倉へ。……曳かれておいでなされまするか」

「おう、よもや縄目の辱は与えもしまいし、また、受けもせぬが、申さば“放ち囚人”というかたちでの、明朝、六波羅武士の迎えにまかせ、東国へ下る」