Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(一) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 246 214 caractères · 495 écrans

Aozora Bunko

かならず、そちによい死に場所を与えてくれよう」

「はっ。おことばを証として、きっと、楠木殿を訪うことにいたしまする」

「が、さし当って、べつに一つの頼みもある。……頼春」

肌着の深くから、小さく結んだ文を取出して、彼はかさねて、下の顔へ、こういた。

「――じつは、かねて意中をしたためおいたこの一書を、折あらば、資朝卿の御手へ渡さんものと、道中、隙を窺うていたが、さて警固の眼の隙もない。卿には、こよいはどこにお眠りか、そちならば近づき得よう。そっと、忍び寄って、これをお手渡ししてくれまいか」

おそらく、当夜の手越ノ宿では、護送使一行のあらましが、女を買いに出たり、宿所へ酒を持ち込んでいたのであろう。なにしろ晩くまで、寝つかない戯れ声や鼻唄が寺内にも聞えていた。

――それも、ばたとやんで、山門の屯も、庫裡、廻廊の辺も、寝ぎたない兵の鼾になった四更(夜明け前)の頃だった。

俊基は、ふと眼ざめた。

背中の下で、啄木の啄むような小さい物音を知り、

「さては、頼春か」

すぐ起きて、廊の欄へ、顔を見せた。と、その顔の前へ、下から黙って人の片手が伸びてきた。

手は一通の書を示している。