Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(七) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 330 262 caractères · 662 écrans
と、ひしひし、闘志に胸を打たれながらも、
「すべてはわが大望の素地だった。そして義貞もまた、この尊氏の土持ちしてくれた一人とすれば憎くもない」
尊氏は苦笑をたたえた。
だがこの夜、彼の不敵さ以上にも敵を呑んでいた者は、義貞であったろう。義貞にはすでに必勝の算があった。悠々、その夜は休んで朝を待った。
十七日、夜は矢さけびに明けた――。両岸の矢いくさに始まり、やがて加茂川河原の上下にわたっての接戦となった。くわしい一騎打ち合戦はここでは省く。――が、ただ乱軍中突として、新田方の第五列が尊氏の中軍に大混乱を呼び起したことだけはのぞきえない。――このため、足利軍は総敗北におち、一時、北野から七条、九条へ遠く退いた。
しかし官軍側も、追撃また追撃にまかせすぎて、あまりにその力を分散させ過ぎた嫌いがある。これが司令者の一失であったことは、その晩のうちに証拠だてられた。
いちど総退却した足利勢は、夜半からふたたび活動をおこし、全市の路地にくたくたとなって駐屯していた官軍へ逆襲せをかけてきたのである。
まったくの暗闇合戦で、この市街戦では、新田の重臣、船田ノ入道義昌が戦死し、千葉ノ介高胤、由良新左衛門なども、巷に仆れた。