Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(七) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 330 262 caractères · 662 écrans
……何かは知らぬが、きいてやろうという優渥なお気もちは、充分、御簾のうちからもうかがわれた。
「正成」
「はっ」
「遠慮なく申せ、なんぞ軍についての意見でもあるか」
「さようにござりまする。もし今をおいて、このまま推移いたしましては、悔いを百年におよぼし、また、せっかく建武の御新政を見て、ここ三年の聖業も、ついには、いかがなろうかと、昼夜、案じられます余りに……」
「要は?」
「正成の存念を、直言つかまつるなれば、なにとぞ、いまを以て、御軍をやめ、公武一体のすがたをお取りあらせられ、ひとまず、すべてを御政事に帰せられたしと希う次第にございまする」
「公武一体とな」
「は」
「解せんことを申す。尊氏をおいてか」
「いえ。勅を賜うて、足利尊氏をなだめ、親しくお召あらせられなば」
「では、尊氏へ、和を請うようなものになる」
「なんで天下の目に、さようなことに映りましょうか。御軍は兵庫に大捷を博しており、尊氏は遠く筑紫へ落ちのびている敗軍の人。……さればこそまた、いまが絶好なときでもございまする。一たんの勝利をば、ここでゆるがぬ御勝利といたさねばなりませぬ」
「しっ」
と、そのとき、公卿列座の中の一つの顔が、正成の注意を衝いて、こう言った。