Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(七) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 330 262 caractères · 662 écrans
昼の月
「では、何者だ」
「ぜひないゆえ打明けるが、正成殿に密々お会いしたいことがあって、じつは金剛山寺へまいる途中だ。見のがしてくれ」
「ならねえ! そう聞いちゃあ、なおのことだ。とにかく、もいちど下赤坂まで降りろ。ごたくは、お城の内で聞いてやる」
と、また肩先を突いてくる。
一、二度小突かせておいて、次のせつなを、介はすばやく、身をひねって、投げを掛けた。大蔵の体は大きくもんどり打ち、何か吠えながらひどい勢いでまたぶつかって来た。腰の物を抜いたと見て、介はあとへ跳んだが、さはなくて無手で武者ぶりついて来たものである。介は充分な余裕のもとに格闘してついに相手を膝の下にねむらせてしまい、渓流の崖へむかって蹴落した。もとより殺す気はないのだった。
ただしかし、こういう意外な邪魔者も出て来たとなると、もうぐずぐずはしていられなかった。彼はあとも見ずそれからの道を頂上へと喘ぎ通していた。
昼の月
正成はその日、麓へ帰ることにきめていた。
なろうことなら、なお当分は山上にいて、静かに、写経でもしていたらと、なかなかここを立つのも惜しまれはする。けれど一面、水分の館に留守している妻の久子の心を思うと、それもあわれでならなかった。