Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(七) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 330 262 caractères · 662 écrans
「さむらいの子、そうなくてはならぬところ、健気さはうれしいぞ。したが、正行よ。死ぬだけがもののふの道ではない。いや、もののふが一番に大事とせねばならぬのは、二つとない生命だ。いかなる道を世に志そうと、いのちを持たで出来ようか。されば、さむらいの、もっとも恥は犬死ということだ。次には、死に下手というものか。とまれ人と生れたからには、享けた一命をその人がどう生涯につかいきるか、それでその人の値うちもきまる」
「…………」
「そなたはまだ浅春の蕾だ。春さえ知ってない。夏も秋も冬も知っていない。人の一生にはたくさんなことができる。誓えばどんな希望でもかけられる。父と共に死ぬなどは、そのときだけのみずからの満足にすぎん。世の中もまた定まったものではない。易学のいうように、時々刻々、かわって行く。ゆえにどんな眼前の悪状態にも、絶望するにはあたらぬ」
「…………」
「それなのに、父は死のたたかいに行く。行かねばならぬ。これは父がいたらぬからだ。みかどの御為とは申しながら、かくならぬ前に、もっとよい忠誠の道を、ほかにさがして、力をつくすべきであった。いや心はくだいたが、この父にそこまでの能がなく、ついにみずからをも窮地に終らすほかない今日とはなったのだ。