Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(七) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 330 262 caractères · 662 écrans
あるいは早や玉砕か。いずれにしろ、義貞と共に退くはずはない。
「ぜいたくな」
彼は、自嘲に変った。
「いくさなのだ。兄と共に、枕をならべて死にたいなどは、ぜいたくな望み。死に遅れたなら、死に遅れただけのことをして、あとからお跡を追って行こう」
まもなく、長田神社を出て、その兵馬は依然、南へ潜行をつづけていた。すると彼方から炎天下を、
「御舎弟さま」
「龍泉殿」
と、手を振ッて来る四、五騎があった。
隅屋新左、恵美正遠、河原九郎正次など、いずれも兄の手勢の者だ。――すぐこのさきの一叢の林に、正成以下みな旗を伏せて、しばし戦機を見つつ一ト息入れておられるという。
「オオではまだ御健在か」
よろこぶ正季を、新左や正遠たちは、
「やわか。なかなか」
と、笑い合いながら、先に立って、
「おやかたさまこそ、山手の戦い、正季の血気、いかにせし、とお案じ顔で、お待ちです」
と、駈け出した。
行ってみると、そこの一叢林は、そのまま会下山の西の裾へつづいている。――すでに敵の直義とも、浜手側の少弐頼尚の隊とも、十数回におよぶ激戦に激戦を交わして疲れきッた正成の麾下は、さすが惨として、血みどろでない者はなく、その兵数も、半分以下にまで減ッていた。