Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(五) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 252 330 caractères · 505 écrans
にあったのだ。
そうした、むずかしい裏面工作にくらべれば、こんどのただ時速だけを尊ぶ“越後触れ”の一ト役などは、さして彼には至難でもなかったにちがいなく、
「しばらくお待ちを」
と、やがて彼は、身支度のため、ふたりをおいて、どこかへかくれた。
明王院の内には、つねに数十人の不動行者(山伏の一類)が住んでいた。すべて吉致の家来であった。そして事ある日には、この白衣一杖の行者が、どこへでも秘命をおびて飛んで行くのである。吉致はいま、その中から最も足の早い者ばかり六人をえらび出し、自身も不動行者に装って、
「では」
と、ふたたび元の座に、その姿をそろえて、義助、経家のふたりへ告げた。
「同行七名の不動山伏。すぐお触れ状をたずさえて、越後路へむかいまする。とは申せ、いかに急いでも、八日には間にあいませぬが、ご出馬の途中にては、きっと、越後軍のこらずお旗の下に馳せ加わりましょうゆえ、どうぞ、ごしんぱいなく、予定のおすすめを」
そのころの、不動行者なるものは、どんな服装をしていたろうか。
ふつうの山伏ともちがって、白木綿の手甲脚絆に、白木の杖をもち、不動明王の像をまつった笈を背に諸国をあるく者が江戸時代にはあった。