Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(五) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 252 330 caractères · 505 écrans
旗、槍、馬上の影を低く沈めて、迂回潜行の奇策へ出るにはその地的条件は絶好といってよい。
義貞は、そもそもの、生品明神の旗上げからこの日まで、終始、捨て身の戦法、
いちか、ばちか
で通してきた。また、勝ってきた。
だが、ここはかたい。
敵の大手だ。平常でも、京と鎌倉間の街道口なので、府境第一の関門となっている。
その極楽寺坂は、岬の山の横腹を中断した開鑿道路で、両がわ木も草もない岩壁だった。そのうえ前面の極楽寺川、針摺橋に二段陣地の防寨を構築していた。
「あれしきの逆茂木」
「なじか破れぬことがある」
浪となって、新田勢の部隊は、交互、われこそと、ぶつかって行く。また引き返す。
そのつど犠牲は少なくない。敵は、尽きない矢のかずを持っており、矢かず惜しまず射あびせるのだ。どうしても白兵戦に持ち込まぬかぎりは勝負にならない。
二十日、二十一日、攻めあぐねた義貞は、
「七郎を呼び返せ」
と、藤沢遊行寺の陣からこの口へ、一番に立たせておいた甥の新田ノ蔵人七郎氏義を、行合(行逢)川の本陣へ呼びつけた。
「ま。食べないか」
義貞は、自分も手づかみで取っていた玄米のにぎり飯を盛った大鉢を眼でさしながら、