Classiques japonais avec furigana
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すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lisez 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 42 917 caractères · 86 écrans
十九
そこで始は昂然と肩を挙げて、挨拶もせずに通り過ぎようとした。が、いよいよ二人がすれ違おうとした時、何かがもう一度彼の眼を若者の体へ惹きつけた。と、相手の胸の上には、彼の母が遺物に残した、あの琅の勾玉が、曇りない月の光に濡れて、水々しく輝いていたではないか。
「待て。」
彼は咄嗟に腕を伸ばすと、若者の襟をしっかり掴んだ。
「何をする。」
若者は思わずよろめきながら、さすがに懸命の力を絞って、とられた襟を振り離そうとした。が、彼の手はさながら万力にかけたごとく、いくらもがいても離れなかった。
十九
「貴様はこの勾玉を誰に貰った?」
素戔嗚は相手の喉をしめ上げながら噛みつくようにこう尋ねた。
「離せ。こら、何をする。離さないか。」
「貴様が白状するまでは離さない。」
「離さないと――」
若者は襟を取られたまま、斑竹の笛をふり上げて、横払いに相手を打とうとした。が、素戔嗚は手もとを緩めるまでもなく、遊んでいた片手を動かして、苦もなくその笛をじ取ってしまった。
「さあ、白状しろ。さもないと、貴様を絞殺すぞ。」
実際素戔嗚の心の中には、狂暴な怒が燃え立っていた。
「この勾玉は――おれが――おれが馬と取換えたのだ。