Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちがうへいはちろう
違う平八郎
山本 周五郎
Lisez 違う平八郎 (ちがうへいはちろう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 142 caractères · 27 écrans
「そんな弱い心で立派な武士が……」
男勝りの寧々はきりきりと唇を噛んだが、相手の恥ずかしそうな顔色を見ると詰るような口調を急に変えて、
「まあ此方へ来てお掛け遊ばせ」
と自分から先に泉亭へ入って行った。――そして平八郎が来て腰掛へ掛けるのを待って云った。
「貴方は伊勢の戦に、空壕の中で草を被っていたと聞きましたが、わたくしには迚も信じられませぬ。本当なのですか」
「不甲斐ないことですが、本当です」
「そんなに貴方は命が惜しいのですか」
「そうではないのです。否や、そうでないと云っては嘘かも知れません。……お話し申上げたいが、聴いて下さいましょうか」
そう云って振向けた彼の眼は、母に縋る幼児のような切ない色を湛えていた。――寧々はその眼を抱緊めるように受けて頷いた。
「拙者は飛騨国大野郡で生れました」
と平八郎は静かに話しだした。「家は数代伝わる郷士で父は本多市正と申します。祖父は平八郎と云って北条氏康の旗下に豪雄の名を挙げたとか、それにあやかるようにと父は祖父の名を拙者に付けて呉れました。――拙者も斯く戦国の世に生れたからは、遖れ戦場に高名手柄をたて、一国一城の主に成りたいという野心に変りはなく、幼少の頃より武道専一に励んで参りました。