Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
「そうおっしゃるのも無理はございません。父さんは本当にお金を溜めるのに夢中だったんですから、――その命がけで溜めたお金が九百九十両、誰かに盗まれてしまいました」
「九百九十両?」
銭形平次は驚きました。九百九十両といえば、千両にたった十両欠けただけ、聞いただけでちょっとドキリとさせる大金です。
千両分限という言葉が、今の百万長者と同じ響きを持った時代、――十両から上の泥棒は首を斬られた時代に、灸点横町の裏長屋で、九百九十両溜める人間も溜める人間なら、それを盗む奴も盗む奴――と思ったのでした。
「父さんは――あの金を盗られては、生きている張合もないから、助けると思って殺してくれと、泣いたり暴れたり」
お浜の眼――訴えるように平次を仰ぐ黒い眼は、夕立を浴びたようにサッと濡れて、ハラハラと拭いもあえぬ涙が膝にこぼれました。
「順序を立てて詳しく話すがいい、ずいぶん力になってやらないものじゃない」
平次は膝を進めました。
「父さんはこの二十年の間、蛸市とか赤鬼とか、世間様から存分なことをいわれながら、一心不乱にお金を溜めました。ずいぶん痛々しい取立てもしたそうですが、その代り私たち父娘の身も詰められるだけは詰めたのです。