Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
上総国勝浦一万一千石の領主、植村土佐守は、若くて闊達で、猟と女と遠乗りが何より好きという殿様でした。家来のうちでも、世故に長けた柴田文内と、若くて腕のできる吉住求馬は、お気に入りの筆頭で、その日も土佐守の遠乗りのお供をして、呉服橋の上屋敷から、一気に目白へのし、帰りは鬼子母神のお楽の茶店へ寄って、持参の割籠を開いてきたのです。
大名は滅多に他所で煮炊きした物を食べません。茶店から貰ったのは、熱い湯と、生みたての鶏卵だけ。
「お楽、――今日は御微行だから、何も御修業だとおっしゃる。地酒を一献差上げてはどうじゃ」
柴田文内は、顔見知りのお楽へ、こんな事をねだりました。
「ヘエ――」
お楽は恐る恐る樽の呑口を捻って、地酒といっても自慢のを一本、銅壺へ投り込んで、さっそくの燗をすると、盆へ猪口を添えて、虚仮がお神楽の真似をする恰好で持って出ます。
「気がきかないお楽だな。お前のところには、お浅とかいう娘があったはずではないか。酌も大事なおもてなしだ、平常着のままで構わぬ、出せ出せ」
柴田文内は、主君土佐守のニコニコする顔を見ながら、身分柄にも似ぬぞんざいな口をききます。