Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 082 caractères · 257 écrans
四
八五郎の答は水も漏らしません。
四
八五郎の肩の濡れは、立ち話のうちに大分乾いてしまいました。
二人は予定の順序を踏んで、もう一度金沢町に取って返し、浪人者、阿星右太五郎の家を訪ねたのです。
「銭形の親分か――いや先刻から待っていたよ、いずれ親分が来るだろうと思ってな」
有徳の浪人阿星右太五郎は、ひどく心得顔に、平次と八五郎を迎えたのです。
何処でどう金を溜めたのか、阿星右太五郎はなか/\の富を貯え、高い利子でそれを運用して、気楽な生活をしている浪人でしたが、そんな蓄財癖が、この人を浪人にさしたのだという噂も、決して火の無いところの煙では無さそうです。
四十五、六――充分に円熟した肉体と知恵の持主らしく、如才ないくせに、いかにももっともらしい阿星右太五郎でした。
「打ち開けてお話し下さいますか、阿星様」
平次はひどく下手に、掛引無しに持ちかけました。
「それはもう銭形の親分、あの女が死んでしまえば、誰憚る者も無い」
「何を仰しゃり度いので? 阿星様」
「私は――何を隠そう、あの女を殺そうと思って居たのだよ」
「え?」
それは実に、銭形平次も予期しない言葉でした。