Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 157 440 caractères · 313 écrans
ハッ、ハッ、ハッ、驚いたか、銭形の親分」
「――」
平次は思わず唇をかみました。考えると自分の智慧に負けたようなものですが、近ごろこんなに手ひどく曲者のわなに落ちたことはありません。
「怒るなよ、銭形の親分。運不運だ、賽ころの目は、明日はどう起きるかわかるものか――ところで、呑気にしていて、邪魔が入るとうるさい。早速用件を片づけよう、外じゃないが親分、親分はこのつまらねえ仕事から手を引いてはくれまいか」
「――」
「タダじゃないよ。銭形の親分が手を引いてくれさえすれば、小判で二千両、明日とはいわない、今夜のうちに――いや今直ぐでも宜い、耳をそろえて親分に引渡すが」
この事件から手を引いたら、小判で耳をそろえて二千両、今直ぐでも引渡すというのは、随分人を嘗めた提議で、銭形平次も思わず満身の血が逆流する心持でした。
「馬鹿ッ、そんなことを聴き入れる平次と思ったか」
「どっこい、怒るだけまだ若いぜ、――俺はまた、素直に承知したと見せて置いて、いざ金を渡そうという時、『御用ッ』と来るのが怖かったのさ。はなっから怒るようじゃ、憚りながらまだ若い」
「――」
平次は併し次第に冷静になって行きました。