Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 157 440 caractères · 313 écrans

Aozora Bunko

何遍か危ない目にも逢わせた女房ですが、急にいなくなると妙に身辺が空洞になったような心持です。

「親分」

八五郎は少し果たし眼になって、その側ににじり寄りました。

「――」

平次はそれに応えず、深沈として考え込んでおります。

「親分」

「うるせえな」

「姐さんはいったい何処へつれて行かれたでしょう」

「――」

「せめて見当でも教えて下さいよ。親分に考え込まれると、あっしは心細くてかなわねえ」

八五郎は平次のひざの側まで寄って、その手を空中にモタモタさせるのでした。親分の身体をこう揺ぶって見たかったのでしょう。

「それが解れば苦労はしないよ――だがな、八」

「ヘエ」

「お前は引窓から屋根の上に出るのに、余っ程骨を折ったか」

「やってみて下さいよ。へっついの上に立って、引窓から漸く首が出るだけで、屋根に両手を掛けて這い出すのは、並大抵の芸当じゃありませんぜ」

「人一人抱えて、あの窓から出られると思うか」

「とても」

八五郎は大きな掌を、以っての外といったように振って見せるのでした。

「ところが曲者は、確かにあの窓からお静をつれ出しているんだ、――縛ってはあったにしても、羽搏きもさせずに屋根の上へ、人一人持出すのは、どんな野郎の仕業だと思う」