Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 157 440 caractères · 313 écrans
それは恐らく八五郎の本音でしょう。あの、何時までも若くてフレッシュで、そして純情で可愛らしくさえあるお静が、親分平次の女房であると共に、子分の八五郎の偶像だったのです。
「何をつまらねえ」
事もなげにいう平次の胸のうちも、恐らく煮えくり返る思いだったのでしょう。
「おや、あれは何んでしょう」
「金太に助十に、若松に、己之吉じゃないか」
それは平次の子分どもで、銘々神田の縄張りを預かる下っ引だったのです。
「あ、親分。丁度宜いところでお目にかかりました」
先に立った金太はすれ違いざま平次を見つけて立ち止りました。
「何んだ、お前たちは金沢町の近江屋を見張っていたのじゃないか」
「ヘエ、近江屋に張り込んで、にらめっこをしていると、親分から使いが来たんです。宜いあんべえに四人そろっていたので、直ぐ飛んで来ましたが、捕物はどうなりました、親分」
「捕物?」
「ヘエ、近江屋半兵衛を始め四人まで殺した下手人がわかったが、手剛いから直ぐ助太刀に来るように――と」
「だれがそんなことをいったんだ」
「親分がそういってよこしたんでしょう」
「冗談じゃない、おれはそんなことをいった覚えはないぜ」