Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

Lisez 魔術師 (まじゅつし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 264 caractères · 280 écrans

Aozora Bunko

麻の袋

その時、二郎が手をかけていた板戸が、身体の重みで、カタンと鳴った。ハッとうろたえて、覗いていた首を引込めようとした瞬間、物音に驚いた目の前の男が、ヒョイとこちらを振向いた。

顔と顔とがぶつかった。

二郎は一目その顔を見ると、まるでお化けにでも出会った様に、「ワッ」と、途方もない叫声を立てたかと思うと、いきなりクルッと向きを変えて、滅茶苦茶に駈け出した。そのお化けが、うしろから追っかけて来るかの様に。

楽屋口に佇んでいた男というのは、意外千万にも、或は当然至極にも、彼が数日来疑い恐れていた、あの庭掃除の音吉爺やであったのだ。

麻の袋

駈け足が、急ぎ足となり、やがて並足となった。いつ方角を取り違えたのか、行っても行っても玉村の邸には出ず、同じ町筋を何度も何度もどうどう巡りをしている内に、二郎はいつか見も知らぬ町はずれの真暗な林の中を歩いていた。

木立ちを通して、向うの方にチラチラと人家の明りは見えているけれど、闇夜のせいか、或は立並ぶ年を経た樹木のせいか、深山へでも迷い込んだ様な気持である。大森の山の手には、こんな森とも林ともつかぬ空地が所々にあって、昼間なれば何でもないのだが、闇夜ではあり、さい前からの変な気持の続きで、やっぱりそれも、悪夢の中の物凄い場面の様に思いなされるのであった。