Classiques japonais avec furigana
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おばけのしょうたい
おばけの正体
井上 円了
Lisez おばけの正体 (おばけのしょうたい) de 井上 円了 (いのうええんりょう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 925 caractères · 145 écrans
脱げて戸へ当たる、身体はころころと庭へ転がり出す。その途端、広縁の角で腰骨を打って痛いことおびただしい。あまり外見のよいものでもないから、声も出されず、そっと起き上がって手探りで下駄をたずねて、一度で懲りたから、仕方がない、和尚をたたき起こせと、再び勝手元へ回り、戸のすきまからのぞくと中は大騒ぎ。和尚は手槍を小脇にかい込んで、忍び足に本堂の方へ行く。後には比丘尼の梵妻が手燭を袖におおいながらついている。納所二人も尻はしょり、一人は麺棒、一人は鉄火箸を得物に代えて、威風凜々というありさま。隅々を見回ってから四人額をあつめひそひそささやき合い、また立ち分かれて見回り歩く。その様子のあまりおかしさに、咽喉元まで吹き出す笑いを、奥歯で噛み殺していることおよそ三十分、僕は不思議そうな顔をして「なにかあったのですか」とたずねると、和尚は眉をひそめて、「ナニ、別になんでもないが、三十分ばかり前に、本堂の方で非常な音がしたから、賊でも入りはせんかと思って、今見回ったが、なにも不思議はないようだ。しかし、あの音はなんであったろうか」というと、比丘尼や納所もよほど驚いたものと見えて、まだふるえが止まらない。