Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おもかげしょう

おもかげ抄

山本 周五郎

Lisez おもかげ抄 (おもかげしょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 947 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

――わたくしは是が本望……。

と笑って呉れた顔さえ、孫次郎には熱鉄を浴びる呵責だった。いつまでこんな貧乏はさせぬ、必ず立身して世の華を見せようと、蔭ながら誓ったことも徒となり、薬も満足に与えられぬ貧苦の中で、衰え果てたままそなたは死んだ、――そして今日になって、出世の緒口、そなた亡き今となって、なんの為に二百石取ろうぞ……椙江、――」

孫次郎は声を忍んで泣いた。

如何なる悲しみにもいつかは慣れると人は云った。果してそうであろうか。恋妻逝きて三年、千余日の日数が孫次郎の場合にはただ、愛慕をつのらせる日の重りでしかなかったではないか。

その日の暮れ方である、――街道の猪之松の店先へ孫次郎が訪れた。折良く店にいた隠居六兵衛が、

「これは先生、何か御用でも――?」

「ちとお話がござって」

孫次郎は店先へ入って、

「実は、此方には長々と親身も及ばぬお世話に相成ったが、仔細あって、この度当地を立退くことに致しました」

「な、何でございますって」

「お笑い下さるな、打明けて申せば家内の体が御当地に合わぬとみえ、兎角調子がすぐれぬ様子、拠なく南の方へでも移ってやろうと存じます」