Classiques japonais avec furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lisez とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) de 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 186 729 caractères · 371 écrans
「なに、堀見?……ははア、あの岳南鉄道の少壮重役だな。じゃあ、クーペの操縦者は、堀見氏だったんだね?」
「さあ、それが……」
「二人乗ってたでしょう?」
「いいえ、違います。一人です。それは間違いありません」
紳士の態度を警察官とでも感違いしたのか事務員は割に叮寧になった。
「いずれにしても」紳士が事務員へ云った。「大変なんだ。実は、あのクーペが、歩行者を一人轢逃げしたんだ」
「轢逃げ?」事務員が叫んだ。「で、怪我人は?」
「僕の自動車へ収容して来た」
「大丈夫ですか?」
「それが、とてもひどい……恐らく、箱根まで持つまい」
こう話している内にも、事務員は明らかに驚いたらしく、見る見る顔色が蒼褪めて来た。
「……そうでしたか……道理で可怪しいと思いました……いや、申上げますが、実は、此処でも変なことがあったんです」
「なに、変なこと?」紳士が乗り出した。
「ええ、それが、なんしろ、重役の自動車ですから、其処で止まったと思うと、直ぐに私は飛出して、遮断機を上げ掛けたんです。すると、余程急ぐとみえてまだ私が遮断機を全部上げ切らないうちに、自動車はスタートして、アッと思う間に前部の屋根でこの遮断機を叩きつけたまま、気狂いみたいに馳け出してしまったんです」