Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Lisez へちまの木 (へちまのき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 120 caractères · 58 écrans
「おれにも覚えがあらあ、いやなもんだったぜ、みんなにゃあ見られるし、笑うやつもあるしな、富坊もさぞ辛かったろう」
「どうだかな」とこちらの男が云った、「町内を廻って来いと云ったのに、野郎、そのまんま神田までいっちまった」
相手の男は聞き違えたと思ったように、どこだって、と反問した。
「神田よ、神田の多町までいっちまったんだ」
「だって」と相手の男が云った、「おめえのうちは川向うだろう」
「川向うも川向う、亀戸の先よ」
「へえー、そいつはおどろきだな」
「おどろきどころじゃあねえや、おれが帳場から帰ると、町内は迷子捜しの大騒ぎよ」
房二郎はゆっくり酒を啜りながら、二人の会話を聞いて思わず微笑し、同時に、すぐ向うにいる男を仔細に眺めていた。男のとしは三十五六、中肉中背の平凡な躯つきだが、焦茶色の乾いた膚と、よく動くおちくぼんだ眼つき、そして、そこだけ際立って赤い唇などが、なんという理由もなく、房二郎の心をひきつけた。――芋汁というのは、とろろ汁の中へなにか白身の魚と青い物がはいっているらしく、男はその汁で酒を一本飲み、次いで、酒と甘煮を注文した。
「多町の自身番で貼り紙を出しているのを、町内の人がみつけてくれたのは、その明くる日のことさ」