Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

Lisez へちまの木 (へちまのき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 120 caractères · 58 écrans

Aozora Bunko

てやった」

「おれにも覚えがあるぜ」

「ところが、――その男の家は亀戸辺にあるらしいが、子供は蒲団を背負ったまま、神田の多町までいっちまったっていうんだ」

「子供のこったからな」と木内は書き続けながら云った、「好きなところへいくさ」

そのあと、町内が迷子捜しで大騒ぎになったそうだ、と云おうとして、房二郎は急に口をつぐんだ。おまえはどうだ、という声が聞えたのである。芝の屋敷をとびだして、こんな卑しい、三文にもならない仕事をしている、おまえ自身は迷子じゃあないのか。

――人間はみんな迷子だ。

木内桜谷は芝居の座付き作者になろうとしたが、いまは瓦版の拵え記事などを書いて、かつかつに食っている。世間を欺き人を騙すような仕事をしながら、女房にがみがみ云われどおしで、首をちぢめているちょび髭も、源さん、常さん、松やん、そして飲み屋で会った名も知らず、顔もよく覚えていない男たちまで、考えてみるとみんな迷子みたような感じだった。

――よくつきつめてみると、人間ってものはみんな、自分のゆく道を捜して、一生迷いあるく迷子なんじゃないだろうか。

房二郎はますます心が重くなり、迷子のままで一生を終ったような、親族のたれかれを思いだして、深く長い溜息をついた。