Classiques japonais avec furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lisez ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 878 caractères · 26 écrans
七、雑魚の魚交り、並びに生簀の悶着のこと。
「いや、そんな事はあるまい。今すれ違った葬式の馬車だって、この車よりは早く走っていたからね。せめて、あの程度にやってもらいたいものだ」
「君さえ承知なら、やって見ましょうか」といいながら、タヌがぐいと緩急機を変えたと思うと、そのとたんコン吉は、ビックリ箱から跳ね出した三毛猫のように座席から飛びあがり、寝巻のままでサラド畑の中へ投げ出された。
さて、難行苦行のすえ、フォンテエヌブウロオの森をはるか左に見、ロアンの運河にそったモレという町に到着したのは夜の九時過ぎ。この日の行程わずかに六十四粁。思い遙かす、ニースまではまだこれから千〇二十四粁の長道中。この調子では、今年中にゆきつけるものやら、来年の春までかかるものやら、コン吉は胸を抱いてはなはだ憂鬱。
七、雑魚の魚交り、並びに生簀の悶着のこと。翌日の出発は午前七時。タヌに寝床から引きはがされたコン吉は、何を思ったか上衣の下に剣術の胸当てのごとき、和製の真綿のチョッキを着込み、腹と腰に花模様の華やかな小布団を巻き付けたのは、多分防寒のためというよりは、街上に投げ出された時の用心のためであるらしかった。パンにはあらかじめバタをぬり、気附薬のために「ナポレオン三世」