Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lisez パンドラの匣 (パンドラのはこ) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 644 caractères · 386 écrans

Aozora Bunko

「さあ、これからは、お前がなんでも、ひとりでやってごらん。」兄さんは、そう言って僕に受話器を渡した。僕は、さすがに緊張した。

鴎座の事務所に電話をかけたら、女のひとが出て、或いは有名な女優かも知れない、媚びたところも無く自然の、歯切れのよい言葉で、ていねいに教えてくれた。自筆の履歴書、父兄の承諾証書、共に形式は自由、各一通、ほかに手札型・上半身の最近の写真一葉、それだけを五月八日までに、事務所に提出の事。

「五月八日? じゃ、すぐですね?」胸がどきどきして、声が嗄れた。「それで? 試験は?」

「九日に、新富町の研究所で行います。」

「へええ。」妙な声が出た。「何時からですか?」

「午後一時ジャストに、研究所へお集りを願います。」

「課目は? 課目は? どんな試験をするんですか?」

「それは申し上げられません。」

「へええ。」また妙な声が出た。「それじゃ、どうも。」電話を切った。

おどろいたのである。五月九日。もう一週間しかないじゃないか。何も、準備が出来やしない。

「簡単な試験なんだろう。」と兄さんは、のんきそうに言ってるけれど、そうも行かない。僕はこれから日本一の役者にならなければならぬ男だ。