Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Lisez ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 411 caractères · 263 écrans

Aozora Bunko

僕の直感ではあれはたしかに僕の顔だ」

「へえ。合理主義者の君が直感なんてものを信じるのか。バカバカしいや。あれは僕が描いた画だよ。僕が描いたからには、僕が一番よく知っている。そもそもあの画のモチーフなるものは――」

云々と僕が、いろいろ専門語を混ぜて説明し始めたものですから、野呂は口惜しげに黙ってしまいました。野呂にとっては画は専門外ですから、自分の顔だというキメ手が発見できなかったのでしょう。

陳から家の売渡しを受けて、二ヵ月経った頃、すなわち今から一ヵ月ほど前のある日のことです。僕が昼食を済ませて、玄関の手紙受け(これも家が僕らのものになって以後野呂がつくったものですが)をのぞいて見ますと、封書が一通入っています。手にして見ると、宛名人の居住先不明の符箋がついていて、つまり発信人に差戻しの手紙なのですが、その宛名を見て僕はあっと驚いた。なんとその宛名が『不破数馬』で、裏を返すと発信人は野呂旅人です。何かたくらみやがったな、とそれを持って僕は部屋に戻って来た。何を野呂がたくらんだか、封を切って中身を調べれば直ぐに判りますが、そうすれば野呂のことだから信書開封の故で難癖をつけて来るだろうし、追い出しの口実を与えるようなことになるかも知れない。